同人誌を読む楽しみを知ると、次第に「自分でも一冊の本を作ってみたい」という創作意欲が湧いてくることがあります。現在は印刷所のサポート体制やデジタル制作ツールが非常に充実しており、初心者でも少部数から気軽に自分だけの本を作ることが可能です。ここでは、初めて同人誌を制作する方に向けて、企画の立案から印刷所への入稿までの基本的な流れを分かりやすく解説します。
最初のステップは「本の仕様(サイズ・ページ数・綴じ方)を決めること」です。漫画やイラスト集であれば「B5サイズ」、小説や持ち運びやすい漫画であれば「A5サイズ」や「文庫サイズ(A6)」がよく選ばれます。ページ数は表紙の4ページ分を含めて4の倍数(16ページ、20ページ、24ページなど)で構成するのが基本です。ページ数が少ない場合は真ん中をホチキスで留める「中綴じ」、ページ数が多い場合は背表紙ができる「無線綴じ」を選ぶのが一般的です。
仕様が決まったら、次に「印刷所の選定とスケジュールの逆算」を行います。同人誌専門の印刷所は数多くあり、初心者向けのセットプランを用意しているところも豊富です。イベント参加や発行日をゴールに設定し、そこから逆算して印刷所の「入稿締切日」を確認しましょう。余裕を持って原稿を進めるためには、締切の数日前を自分なりの完成目標に設定しておくことが大切です。
続いて「原稿の制作」に入ります。漫画やイラストは専用ソフト(CLIP STUDIO PAINTなど)、小説はWordや一太郎、専用の組版ツールを使ってデータを作成します。このとき最も重要なのが、印刷所のテンプレート(原稿用紙のサイズ設定)を事前にダウンロードして使用することです。印刷時に紙の端が裁断されるため、絵柄をページの端まで印刷したい場合は「塗り足し(通常上下左右3mmずつ)」を含めて描く必要があります。また、解像度はモノクロ漫画なら600dpi、カラー表紙なら350dpiに設定するのが標準的です。
原稿が完成したら、文字の誤字脱字やページ順、ノンブル(ページ番号)の抜け漏れがないかを最終確認し、印刷所の指定するファイル形式(PSDやPDFなど)で書き出して「入稿」します。入稿データに不備がなければ印刷工程へと進み、数日から数週間後に美しく製本された自分だけの同人誌が手元に届きます。
最初は覚えることが多く感じるかもしれませんが、印刷所のガイドラインに沿って一つずつ進めていけば着実に形にすることができます。自分の頭の中にあった物語やイラストが一冊の本になったときの感動は格別です。
